福袋

昨年出遅れて買えなかった新年のデパート目玉の福袋。

今年も1月2日朝8時半から600枚の整理券が配られる。

1人2枚までの限定、ということは1枚だけの希望の人も居るはず。

昨年より30分早く到着した、私の行列の順番は350番目辺りらしい。

「最後尾」のプラカードを持つ係員の人から

「買えないかもしれませんよ」。

行列に並ぶと同時に、暗い見通しの覚悟を迫られる。

そんな宣告を受けた後にも、次から次へと人が並ぶ。

1枚だけ希望の人が50人以上いる、と安直な皮算用で

希望は消さない、ワクワク期待は胸一杯。

時間が来て整理感が配られ始めた、行列は少しずつ前に進む。

あと30人ぐらいで私の番、ドキドキ。

その時、前の人垣から「あ~あ」と言うため息が聞こえてきた。

・・・・今年も出遅れた。

それでは、と次の目標は開店後のブランド菓子の福袋。

デパート玄関前の行列に並ぶ、通いなれた館内の地図はバッチリ頭の中。

オープンと同時の動きが重要、私の動線シミュレーションは完璧。

開店と同時に皆が走り出す。

私の狙いは地下食料品売り場福袋。なかなかの争奪戦の結果、

無駄のない動線と、ジムで鍛えた足さばきで希望のブランド菓子福袋は

それぞれゲット。

帰り道、希望の福袋が買えた満足と、整理券に手が届かず

1番人気の福袋が買えなかった無念さが、ないまぜになった私の頭に

寝る前の我が子たちに聞かせた、

イソップ物語の「よくばり犬」の話が蘇ってきた。

有名な話だが概略はこうだ。

肉をくわえた犬がいた。

その犬が橋を渡りながら下を流れる川を見たところ、

そこには、美味しそうな肉をくわえた犬がいるではないか。

「よし、吠えて脅してあの犬の肉まで横取りしよう」、そう企んだ犬は

水面に映る自分の姿めがけて大きく「ワン」と吠えた、

すると口に咥えていた肉がポトンと川に落ち流され 

犬の元には何もなくなってしまった、という話だ。

「他人の物は良く見える、欲張りは結局損をする」という教訓話だ。

3人の子供たちの子育て中には、何度も何度も話して聞かせたものだった。

新年早々この教訓話がブーメランの様に私の元に戻ってきた。

そう、欲をかいてはていけません。

一番人気福袋はゲットできなかったゆえに、大きく魅力的に見えたよね、

でも次に欲しかったブランドお菓子福袋は買えたじゃない。

「よか年が始まった」

年が明け1つ歳を重ね、我が子に伝えていたイソップ物語に

今更ながら教えを得た私は、そう思うことにした。