チーコ

今日は時を半世紀も遡った思い出の犬“チーコ”

幼かった私に「愛おしい(いとおしい)」という気持ちを教えてくれた

愛犬との想いでの場面を切り取ります。

その犬は私がまだ小学生の頃、

諸事情で飼えなくなった親戚から、我が家に貰われた。

すでに2歳ほどの年齢になり、チーコという名前を持った

愛らしい姿の犬だった

あのディズニーのわんわん物語の主人公レディと同じ犬種

アメリカンコッカスパニエルと言えば

お分かりになる方もいるかもしれない。

学校の友達に自慢したくて 初めて聞く長いカタカナの犬種もすぐ覚えた。

「可愛いいねぇ」「何ていう種類の犬?」

通りすがりの人まで声をかける。

そんな周りの視線を感じながら、私は自慢のチーコのリードを握り散歩に出かけていた

向かう先は、近くの大学のグランドだった。

敷地を囲むレンガの塀は歴史を語る赤茶色。

その前には何本もの楠の大木が枝を広げ日陰を作っていた。

今では許されない事なのだろうが

当時の私は、グランドに着くとリードを外し、

そこでチーコとかくれんぼをするのだった。

もちろん、チーコが鬼で私を見つける役。

チーコが下草に残る、他の犬の匂いに気を取られている間に

私は走って楠の木の裏に隠れる。

小学生だった私は、大きな楠の木にすっぽり身を隠せた。

私が楠の木に隠れた頃、チーコは私を探しキョロキョロと周りに視線を飛ばす。

「よしよし、このタイミング!」声をかける時は今だ。

私は楠の木の陰に身を隠したまま「チーコ!!」と名前を呼ぶ。

声のする方を目指しチーコが猛ダッシュで走ってくる。

見つかりたい気分、隠れていたい気分半々の私はきっと

匂いがダダ洩れだったのだろう、すぐにチーコに見つかっていた。

何があんなに楽しかったのか・・・楽しくて嬉しくて私もチーコも

走り回っていた遠い昔の思い出。

今こうして“思い出の箱”の蓋を開けた途端 チーコが勢いよく飛び出してきたようだ

今回1回では書き終わりそうもない。

・・・・・・続きは次回のコラムにて。